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「帰ったら帰ったで、また巻き込まれるかもな」 呟く声に力は感じられない。 朝っぱらから虚脱感を感じてどうすんだ、真島淳司! 「おっしゃぁ!今日も一発気合い入れてこう!」 そうやって自分を鼓舞しようと、空に向かって噛み付くように吠えてみる。 だが、その咆哮に何の効果があるのかは淳司以外の人間に知る術は無い。 そこに、 「……何やってんの」 呆れながらも、冷たく、氷よりも冷厳な声が聞こえた。声に反応して背後を振り向く。 淳司の顔は一言で言うなら渋面を象っていた。 黒髪のショートカット、カモシカの様にスラッとした足。気がやたら強そうな黒瞳だが美人であるのは間違いないだろう。彼女の表情は呆れのみで固められている。 「……よう」 「おはよう。今日は珍しく朝が早いのね。雨、降るのかしら?」 朝っぱらから会うなりこれだ。 彼女―瀬川亜季―は淳司の幼馴染……らしい。 らしいと言うのは、両者が本当に相手を幼馴染と見なしているのか、両者共甚だ疑問に感じているからだ。 「……相変わらずの毒舌っぷりだな、亜季」 この世の憎悪を極限にまで絞り込んだような淳司の会心の皮肉にも、 「人の批判を、毒と取るか、忠告と取るかは人の自由よ」 不敵な笑みを浮かべて可愛げの一欠けらも見せずにさらりと流す。 彼女はとにかく頭が切れる。 淳司は認めたがらないが、これは事実だ。淳司にとってはどうしようもないまでに理不尽な現実だ。 そしてお世辞にも彼、真島淳司の頭は回転が早い方ではない。

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