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「オー!グッドモーニングね、アツシ、アキ」
中国人のような発音が鼓膜に響く。声に反応して、
「よ、ジャック」
後を振り返り、淳司は片手を挙げて挨拶をかわす。
そこには白い歯が輝く、黒い笑顔があった。
「おはよ、ロバート」
亜季もにこやかに微笑みかける。二人の目の前には、白い歯が際立つ黒い笑顔がある。
彼、ロバート・ジャクソン(日本名、驢馬戸・者句孫)はアフリカの小国出身の黒人。だがそれは大したことではない。
なにしろ……
「でも、ロバート、その服装で動きにくくない?」
しかめっ面で亜季は問う。
亜季の指摘ももっともだ。ジャックの服装は私服OKの戸島高校でも奇抜という他ない。袴、足袋、草履に、シャツの上に半纏を纏っている。右手にはどういう訳か扇子を持っている。
しかも今は吐く息も白くなる、文字通り冬真っ盛りの二月なのだ。この格好が機能的、実用的だとはどう考えても思えない。
「いや〜、ゲタを着るよりは、ずっと動きやすいネ」
少々日本語が変だがしょうがない。彼は日本に越してきてまだ三年にも満たないのだから。三年という短期間でこれほど日本語を修得出来たことに対して感嘆はすべきでも、貶すのはお門違いだ。
「確かに下駄よりは動きやすいだろうけどよ」
しかし、寒いだろう、というツッコミはしないでおく。
淳司の苦笑いを、ジャックは扇子をペシと、自身の頭にあててにっこりと微笑む。
まるでお笑い芸人を目指してでもいるかのような彼の服装だが、それは違うらしい。どうも親が日本の服を珍しがって買い与えているようなのだ。(もちろんジャックも気に入っているから着ているようなのだが)
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